1人親方の確定申告 Q&A
お答えします
材料費・工具・作業着・現場までの交通費・車両費など、施工のためにかかった費用は必要経費になります。作業着や安全靴は業務専用ゆえ全額が経費で、この点は普段着が家事費になる他の職業と扱いが違います。自宅兼事務所の家賃や、生活と兼用の車両は、明らかに区分できる部分が経費になります。
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一解説
所得税法37条1項は、必要経費に算入すべき金額を二つ定めています。総収入金額を得るため直接に要した費用と、その年における販売費、一般管理費その他その所得を生ずべき業務について生じた費用です。材料を自分で仕入れるなら前者、工具・車両・交通費・通信費は後者にあたります。
この仕事で他と違うのは、作業着・安全靴・ヘルメット・作業用手袋が全額経費になることです。被服費が原則として家事費になるのは、日常でも着られるからです。作業着には私用の余地がありませんから、その理屈が当てはまりません。勘定科目は消耗品費で構いません。
工具は取得価額が10万円未満ならその年の必要経費、10万円以上は減価償却です。10万円以上20万円未満には一括償却という方法もあります。
所得税法45条1項1号は、家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるものを必要経費に算入しないと定めています。その政令が施行令96条で、家事関連費のうち経費にできるものを二つ挙げています。一号は、主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分。二号は、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者について、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分です。
一号の「主たる部分」は、通達45-2 が業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしています。あわせて同じ通達が、5割以下であっても、必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えないとしています。
車両なら走行距離、携帯電話なら通話の相手。数字で示せる基準を選び、その理由を残しておくことが要点です。
一人親方に固有の、そして金額的にも大きい論点がこれです。どちらでも必要経費にはなりますが(生計を一にする親族へのものを除きます)、給与であれば源泉徴収の義務が生じ、消費税の扱いも変わります。
国税庁は、大工・左官・とび職等が受ける報酬について、請負契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのか、又は、雇用契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのかにより判定するとしています。契約書の名称ではなく、契約の中身で決まるということです。
その区分が明らかでないときの判定要素も、同じ通達に挙げられています。①他人が代替して業務を遂行できるか、②作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束を受けるか、③作業の具体的な内容や方法について指揮監督を受けるか、④引渡し前の完成品が不可抗力で滅失した場合にも報酬を請求できるか、⑤材料や用具等を報酬の支払者から供与されているか。消費税でも同じ枠組みで区分します。心当たりのある方は、税理士または所轄税務署にご確認ください。
一人親方の経費は、現場に紐づけると一気に整理できます。材料費も交通費も「◯◯邸新築」のように現場名を添えておけば、それだけで業務性の説明になります。外注した分は請求書と支払記録を必ず残してください。
所得税法56条は、生計を一にする配偶者その他の親族とのやり取りを、事業主ひとりの中の出来事として扱います。親族に払った地代家賃や給与賃金は必要経費にならず、代わりに、その親族が事業のために負担した費用が、事業主の必要経費になります。対価を払っているかどうかは関係ありません。給与賃金は青色事業専従者給与が例外で、青色申告者でない方には事業専従者控除があります。
家族名義の倉庫や車庫を現場道具の置き場にしているなら、親や配偶者が負担しているその固定資産税などを本人の経費として拾えます。
所得税と住民税は必要経費になりません。事業税は全額、固定資産税は業務用の部分が経費です。罰金・科料・過料は対象外で、業務のための借入金の利息は経費になります。
二一次情報
所得税法 第37条第1項(必要経費)(抜粋)
第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
所得税法 第45条第1項第1号(家事関連費等の必要経費不算入等)(抜粋)
第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
所得税法 第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)
第五十六条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
所得税法施行令 第96条(家事関連費)
第九十六条 法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
所得税基本通達 45-2(業務の遂行上必要な部分)
45-2 令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
所得税基本通達 56-1(親族の資産を無償で事業の用に供している場合)
56-1 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその有する資産を無償で当該事業の用に供している場合には、その対価の授受があったものとしたならば法第56条の規定により当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入されることとなる金額を当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入するものとする。
法第57条《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》関係
国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識(抜粋)
事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
必要経費の算入時期
必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。
つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。
この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいいます。
(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
注意事項
必要経費に算入する場合の注意事項については、次のとおりです。
(1)家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
(2)必要経費になるものとならないものの例
イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。
これは、土地や家屋に限らずその他の資産を借りた場合も同様です。ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。
ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。
(注)青色申告者でない人についての事業専従者控除の金額が、必要経費とみなされます。
ハ 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。
(注)不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子の額は、不動産所得の計算上必要経費になりますが、不動産所得の金額が損失(赤字)となった場合には、その負債の利子の額に相当する部分の損失の額は生じなかったものとみなされ、他の所得金額との損益通算はできません。
ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。
ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。
ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。
ト 罰金、科料および過料などは必要経費になりません。
チ 公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。
大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)平成21年12月17日 課個5-5(抜粋)
2 大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得区分
事業所得とは、自己の計算において独立して行われる事業から生ずる所得をいい、例えば、請負契約又はこれに準ずる契約に基づく業務の遂行ないし役務の提供の対価は事業所得に該当する。また、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく役務の提供の対価は、事業所得に該当せず、給与所得に該当する。
したがって、大工、左官、とび職等が、建設、据付け、組立てその他これらに類する作業において、業務を遂行し又は役務を提供したことの対価として支払を受けた報酬に係る所得区分は、当該報酬が、請負契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのか、又は、雇用契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのかにより判定するのであるから留意する。
この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。
(1)他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが認められるかどうか。
(2)報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。
(3)作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く。)を受けるかどうか。
(4)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。
(5)材料又は用具等(くぎ材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具等を除く。)を報酬の支払者から供与されているかどうか。
消費税法基本通達 1-1-1(個人事業者と給与所得者の区分)
1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。
(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
国税庁 タックスアンサー No.1130 社会保険料控除(抜粋)
納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額です。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三1人親方の場合
作業着は経費、普段着は家事費。この線引きを覚えておけば、被服費で迷うことはありません。現場に着ていく私服のジャンパーは経費になりませんが、社名の入った作業着や安全靴は全額経費です。
金額がいちばん動くのは人に手伝わせた費用です。外注費として処理していたものが給与と判断されると、源泉徴収をしていなかった責任が後から生じ、消費税の仕入税額控除も否認されます。継続的に人を使っている方は、早めに専門家に確認しておくことをおすすめします。
社会保険料は経費ではなく所得控除です。国税庁は、社会保険料控除として控除できる金額を「その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額」としており、その範囲には労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料も含まれています。経費欄ではなく控除欄で確実に拾ってください。
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