1人親方の確定申告 Q&A
お答えします
開業届は、独立して仕事を始めた年の確定申告期限までに出せば期限内です。先に閉じるのは青色申告の承認申請で、こちらは開業日から2か月。人を雇えば給与支払事務所等の開設届が1か月以内に加わります。
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一解説
所得税法229条は、事業を始めた人の届出期限を「その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限まで」と定めています。確定申告期限は翌年3月15日です(同法120条1項)。4月に業務を開始した方であれば、翌年3月15日までに開業届を出せば期限内です。
青色申告の承認申請は、これより早く閉じます。144条は、その年の1月16日以後に業務を開始した場合の期限を「その業務を開始した日から二月以内」としています。4月に業務を開始した方の締切は6月です。
一人親方は、工具や車両の支出が独立の直後に集中します。青色申告には、正規の簿記による記帳を条件とする特別控除や、赤字を翌年以後3年間繰り越す扱いがありますので、開業の時点で申請まで済ませておくと選択肢が残ります。
144条の起算点は「業務を開始した日」です。この日は開業届の開業日欄に自分で記入するもので、書いた日付が承認申請の締切を決めます。
目安は、報酬を得るための仕事を継続して始めた日です。工具を揃えたり、資格の講習を受けたりしていた期間は、まだ業務の開始にあたりません。
裏づけになる記録は、取引の側に残ります。元請との最初の請負契約書、最初の注文書、初回の出来高請求書、現場の入場記録が該当します。
職人として勤めていた方が独立する場合、日付が近い時期に並びます。会社を辞めた日、建設業の許可や労災保険の特別加入を申し込んだ日、元請と最初の契約を結んだ日、初めて自分の名前で現場に入った日です。
開業日として置きやすいのは、元請と契約して初めて現場に入った日です。契約書と入場記録が裏づけになり、そこから先の材料費や現場までの移動費が事業のための支出だと説明しやすくなります。
退職日をそのまま書くと、実際に現場へ入るまでの空白のぶんだけ、承認申請に使える時間が短くなってしまいます。
所得税法施行令7条1項1号は、開業費を「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定めています。独立前に受けた資格の講習費、営業のためのあいさつ回りにかけた費用などが該当します。
同項の柱書は、開業費から「資産の取得に要した金額とされるべき費用」を除いています。工具・脚立・トラックのうち減価償却資産となるものの代金はこれにあたりますので、取得価額で各年の減価償却費として配分します。取得価額が少額で減価償却資産として扱わないものは、開業準備のための支出であれば開業費に回ります。
作業着や安全靴は、現場でのみ着用するものですので必要経費になります。開業後に買ったものはその年の経費、開業前に買ったものは開業費として扱います。
一人親方は、仕事が増えると人を使う立場に変わります。人を雇って給与を払い始めたときは、給与支払事務所等の開設届出書を、その事実があった日から1か月以内に出します(所得税法230条)。開業届の期限より短く、独立とは別の日から動き出します。
家族に事務や現場を手伝ってもらって給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書が要ります。期限は青色申告承認申請と同じで、その年の3月15日まで、1月16日以後に事業を開始した場合はその日から2か月以内です(同法57条2項)。
元請から適格請求書を求められる立場であれば、適格請求書発行事業者の登録も考えることになります。ふだんは適用を受けたい課税期間の前日までですが、事業を開始した日の属する課税期間から登録を受けるときは、その課税期間中に手続きすれば間に合います。
二一次情報
所得税法 第57条第2項(青色事業専従者給与に関する書類の提出期限)(抜粋)
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第120条第1項(確定所得申告)(抜粋)
第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるとき(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。)は、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
所得税法 第143条(青色申告)
第百四十三条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。
所得税法 第144条(青色申告の承認の申請)
第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第229条(開業等の届出)
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し、若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第230条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)
第二百三十条 国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、又はこれらを移転し、若しくは廃止した者は、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。
所得税法施行令 第7条第1項第1号(繰延資産の範囲・開業費)(抜粋)
第七条 法第二条第一項第二十号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、個人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)
国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度(抜粋)
青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。
(1)原則
新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(3)相続により業務を承継した場合
その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
国税庁 タックスアンサー No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(抜粋)
個人が新たに事業を始めたときの所得税、源泉所得税、消費税に関する届出書等とその提出期限
所得税
個人事業の開廃業等届出書事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税の青色申告承認申請書原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)
青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで
源泉所得税
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。)。
消費税
消費税課税事業者選択届出書適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税簡易課税制度選択届出書原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中
なお、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合もありますので、各行政機関へご確認ください。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三1人親方の場合
会社を辞めた日をそのまま開業日として書くと、青色申告承認申請の2か月がその日から動き出します。許可の申請や道具の手配で現場に入るまでに1か月以上かかることもあり、その分だけ申請に使える時間が減ってしまいます。退職日・許可の申請日・初回の現場のどこを取るかで締切が動きますので、報酬を得る仕事を継続して始めたのがいつかを、契約書や入場記録で確かめてから決めることになります。
もう一つは、人を使い始めたときです。給与支払事務所等の開設届出書は1か月以内で、開業届とは別の日から数えます。応援を頼んだ相手への支払が請負か雇用かで、この届出の要否が変わります。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
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